2014年12月30日火曜日

2014年、最大の事件はBABYMETAL DEATH

今年も残すところ、後一日となりました。

毎年、年末になるとどこかの寺で「今年の漢字」なるものが発表されるのですが、2014年は「税」だそうです。
アベノミクスの失敗を全て消費税のせいにするリフレ派がこんなところにまで影響を及ぼしてしまったという証にはなるかもしれませんが、「今年の漢字」には相応しくないでしょう。

私だったら、「滑」にしますね。
山が滑り落ちる土砂災害で多くの方が亡くなりました。
また、STAP細胞、偽べートーベン、さらには「生活の党と山本太郎となかまたち」など多くの「スベリ」が巷を賑わせました。
もちろん、アベノミクスの「スベリ」も忘れてはなりません。

ちなみに2011年は「絆」でした。
それが3年経って、地雷女に細胞を仕込まれたりしたあげく首を吊ったり、金目当てに結びついた詐欺師と売れない作曲家が仲違いしたり、昔の仲間に全員逃げられて過激派の「なかまたち」になったりと、腐った「絆」がついに切れて谷底に滑り堕ちていった、という感じですね。


ロクなことがなかった2014年なのですが、これは一つのフェーズが終わる最後の段階であるとも考えられます。

つまり、今はフェーズが切り替わる端境期にあると思うですが、その象徴と言うべきなのがBABYMETALなのです。


しかし、このBABYMETAL、なかなかに難しい存在です。
一般には、「アイドルブームの中、メタルという新機軸を打ち出して今年ブレイクした注目株」みたいな捉え方をされているのでしょうが、これでは事の本質を見失ってしまいます。

そもそも、今年になってまだ「アイドル」とか言って喜んでいるのが愚の骨頂です。
去年、『あまちゃん』があれほど明確に「アイドル」の歴史を描くことで、それを終わらせたのにもかかわらず、です。
あそこまでやられて、まだ分からないというのはもうどうしようもありません。
「アイドル鑑賞が趣味です」と言われればそれまでですが、ようするに「若い女の子を見るのが好きです」というだけのことでしかありません。
しかし、それならば今やAVの方が楽しめると思いますが、アイドルのような中途半端なものに拘るというのもまた、SNSなどに溢れる「腐った絆」的なものを求めてのことでしょう。

したがって、BABYMETALのクリティカルポイントはアイドルではない。
メタルです。
メタルであること、これこそが重要なのです。


つまり、今ってメタルなのです。
メタルこそがこれからのフェーズのキーアイテムなのです。

一方で、終わったものは何か?

一言で言えば、EDMとかいうやつですね。

今、シンセサイザーの音がとにかくダメです。
もちろん、リズムマシンやらオートチューンで加工されたボーカルなんかも、もう結構という感じです。
そういったものを使って、レトロフューチャーみたいなムードを出すのも、いい加減にしてくれと思います。
フューチャーでも何でもなくて、ただのレトロ、若い人は知らないでしょうが、滝田ゆうの電柱みたいなものです。

いつまでやってんだよと、なぜもっと多くの人が思わないのか不思議です。

小室哲哉が「EDM!、EDM!」とかツイッターで盛り上がっているのを見るのも正視に耐えません。

Aphex TwinとFlying Loutusのニューアルバムが話題になりましたが、それをもって「音楽復興の兆しがある」とか言い出す田舎者もいるそうです。
私などは、これらのアルバムから感じるのは、80年代のチック・コリアやハービー・ハンコックだとかです。

チックもハービーも悪いミュージシャンじゃありません。
そして、あの時代、彼らはそれなりに新しいことをやっていました。
しかし、当時高校生だった私には、「ジャズを引き摺っているのは結局古いな」としか思えませんでした。

それと同じことを、Aphex TwinとFlying Loutusのニューアルバムにも感じます。

1940年代に革新的だったモダンジャズが、40年経ってフュージョンなどと名前を変えても「もういいや」としか思えない。
1970年代に革新的だったテクノが、40年経ってEDMなどと名前を変えても「もういいや」としか思えない。


この反復が、どうもあまり多くの人に共有されていないのですが、その理由は80年代のテクノように明確に存在した「次」が今は分かりにくいということがあると思います。


例えば、シンセサイザーの音がダメだと言いましたが、もちろんダメじゃないのもあるのです。
2010年以降のマーカス・ポップ(Oval)などは良いのですが、そもそもあれがシンセサイザーだと認識されていない、というか、その認識の不可能性こそがポイントだったりするので、話が大変に難しくなってしまいます。

これは、何故今メタルか、という本題にも繋がっていくのですが、今のメタルはかつてのメタルとは本質的に違うのです。
というか、メタルというのは凄まじく細分化しているので、違うメタルがあるということです。
そして、その違いとは「歪みの質」に起因したりするのですが、これも難しい話になってしまうので別の機会に書きます(本当は若い人で、そういうことをブログかなんかに書いてくれるような人がいてもいいんじゃないかと思うのですが、いませんね)。


とにかく、そういう今のメタルが「次」のフェーズの中心に存在している、ということだけは確かなのです。


私は、昔はメタルなど一番バカにしていました。
シンセマニアのパンクニューウェーブ少年でしたから当然ですね。
それが今や、すっかりメタル野郎です。
アイバニーズの薄いギターにハイゲインディストーションでジェントジェントです。

カントリーなんかもバカにして聴かなかったのですが、これは数年前から聴いて、いいなと思うようになりました。
いいなというか、カントリーが分からないとアメリカのロックなどは分からないのですね。

それにしても紆余曲折の挙げ句、この歳になって辿り着いたのが、かつて散々バカにしていたメタルだった、というのは我ながら驚きですね。

人は嫌ったりバカにしたりしていたものに最後は吸い寄せられていくのかもしれません。

野間易通さんなども、やがては「萌え~」とか言って美少女アニメを見ながら日の丸を振る老人になったりするのかもしれませんよ。


それで、BABYMETALの話に戻りますが、とにかくメタルであることが重要だというのはお分かりいただけたと思います。

そしてもちろん、世界的に評価されているというのがやはり決定的に凄いことです。
新しく出るアルバムのレビューで書いている方がおりますが、かなり難しいことなのですね、海外のライブで評価されるというのは。

先日、NHKで放送したロンドン公演も、日本語の歌であれほど外国人が盛り上がるというのは、見ていて感動しました。

あれが海外で受けるというのは、一つには日本趣味をかなり上手く取り入れているというのがあるでしょう。

特に、あの花魁と禿スタイルはダンスのみならず、歌の構成にも活かされていて三人でやる必然性を感じさせます。


メタルにおけるステージアクションとボーカルというのはなかなか難しくて、例えば、Meshuggahなどは、今や楽器用のアンプやスピーカーキャビネットを使わずにデジタルシミュレータの出力をそのままミキサーに送っているようです。

そうすると、ステージには楽器を持ったメンバーとボーカルが並んで演奏みたいになるのですが、どうもあのボーカルの雰囲気からしてメタルコントみたいな感じになってしまうのです。

たとえ、実際には音の出ていない張りぼてあってもマーシャルウォールというのは意味があったんだなと思いましたが、音楽はヘビーなのだけどビジュアルはコントというモダンメタルの問題点をどう解消していくのかについて、BABYMETALはそのサウンドとともに一つのスタイルを打ち立てたと思います。

こういうスタイルのイノベーションは日本では無視されがちですが、海外では確実に評価されますね。


ただいずれにせよ、BABYMETALの最大の魅力はやはりSU-METALのボーカルなのです。

上手いというよりも、彼女の声には力があります。

力がないと歌ってダメなんです。

松田聖子、安室奈美恵、宇多田ヒカル、みんな声に力がありました。
SU-METALのボーカルにはこれら歴代の歌姫に匹敵する力があります。


そういう力のある声で歌う人間が、日本から世界に向けて出てきた。

これは、やはり極めて大きな一つの事件なのです。